見返しの作品紹介文を読んで、ファンタジーがかったホラーなのかと思いきや。 どっちかというと、大人になりきれない少年が、人間の汚さや身勝手さに、嫌悪感を抱き、そんな感情(彼はそれを「悪魔」と呼んでいる)に振り回されて疲れ果て、本心では自分を見て欲しい、家族として受け入れて欲しい・・・ という風な・・・陳腐な言葉になってしまいますが、いわゆる思春期メインの話でした。 でもホラー。・・・サスペンス? 自分がそういった時代からだいぶ離れてしまったせいか;最近、この手のものは、あまり読まないんですけど、 この作品はかなり面白かった! 後半に行くまで、ホラー要素が現実なのか、サイモンの妄想なのか分からないところとか、 訳者の金原瑞人氏も、あとがきで書かれていますが「う〜ん、すごい」のひと言です。 そして、とにかく、心理描写がスゴイ。 他人を(ひょっとしたら自分自身も)否定して生きている、というような、主人公の年頃(はっきり書かれていませんが)にはありがちな心が、後からじわじわくるように、巧みに表現されています。 (ので、友人のトリスのことも、始めは嫌いなんだと思っていた私。) 唯一信頼を寄せていた母親に、裏切られたことがきっかけとなって、「悪魔」を呼び寄せてしまうサイモン。 父親に、いくら救いを求めても、応えが得られることもなく。 心が血を流していることを、歪んだ形でしか現すことが出来ず、誰にも理解を得られない。 ひとり、「悪魔」を否定する感情と、迫る恐怖と対決するラストは、痛々しいほどでした。 そして表紙絵がスゴイです!かかしが3体描かれているんですが、中央のかかしの顔が、恐ろしい。 |
←せっかく大きく描いたので。おまけ(^!^;画像、とにかく重くてスミマセン・・・。 画質落すと色が変わるんです・・・。 上の絵も重くてスミマセン・・・。 背景、カブ畑なんですけど・・・見えない・・・。 最初、夏の日差しを表現しようと、鮮やかな色で描いたのですが。 全然ホラーっぽくなくなったので;腐った畑色になってしまった* |