◆ピーター・パン◆J.M.バリ[著]色んなトコから[刊]
ヘンな服でスミマセン・・・
まずは、お断りを。
かなりな思い入れのある作品なので、語りが長くなります。
タルくて読んでられないかもですが、普段こんなこと話せる相手などいないので、まぁご容赦下さい。

私の初めての「ピーター・パン」は、岩波少年文庫のものでした。
学校の図書館から借りてきて読み、何だか忘れられなくなって、本屋で見つけた、青い鳥ではない方の講談社文庫の「ピーター・パン」を買い、更に福音館の「ピーター・パンとウェンディ」まで買ってしまう、という、中学生当時としては、結構な入れ込みようでした。
「ピーター・パン」の前の話もあると聞き、更に新潮文庫の「ピーター・パン」も読みましたよ!

そんなこんなで、出版社によって、あるいは訳者によって、舶来モノは変わるんだ〜、ということに気づいたのも、この作品がきっかけとなっています。

その後、高校を経て、ある程度小金を稼げるようになってからは、年に1度はディズニーランドに足を運び、ピーターグッズを買いあさるように・・・。

どんなにブサイク〜なぬいぐるみも買いましたとも!
ああ、何だか今の私を暗示しているかのような(以下略)。

ディズニー映画となると、話が変わっていてアレコレ、ってよく採り上げられていますね。
私はまったくこだわらずに、当時は観ていましたが、今となると映画オンリーの方には、ぜひ原作を!と薦めたくなりますです〜。

ディズニー映画って、作者が作品を通して訴えたかっただろうな、という最重要部分を、ことごとくカットしている気がします。
その辺が、原作好きには歓迎されないところなんじゃないのかね。

ちなみに、2004年にDVDも発売された実写映画「ピーター・パン」は、なかなかヨイ!と思います。
ダークな部分もある程度込められてて。
原作では、フックとの決闘も、結構血なまぐさいです。手下の海賊も、あっさり殺されたりしているんです。
そして、「死」についても、臆することなく書かれています。

って、もう、前置きでこんなに書いてしまいました〜肝心の感想は、これからです。ホントに長いよ(笑)。

この物語の魅力は、何と言っても、主人公、ピーターにあるでしょう!
不思議な、どこにもない国「ネバーランド」も、彼なくしては、とても味気ないものになってしまいます。
実際、冒頭部分も、それまでは半分眠ったようだったネバーランドが、ピーターの帰還とともに、一気に活気付いて、目覚めの春を迎えるわけです。
(この辺、映画版は上手い表現してましたよね)

その、我がままでいい加減で、思いつきで行動して、忘れっぽくて、きっと知り合いにこんなのいたら腹立つだろうな〜的な性格も、とてもいとおしく思えてくるから不思議なもんです。

原作では、大人にならない代価を、「家族(特に母親)の愛情」をもって支払わされているピーター。


「この少年は、ほかの子どもたちが、ぜったいに知ることのできないようなよろこびを、いくらでも知っているのですが、ただ一つ、いま、まどごしにながめているよろこびからは、永久にしめだしをくらわなければならないのでした。」(講談社・高杉一郎:訳)

これは、ネバーランドから帰宅したウェンディたちを、家族が涙で迎えるシーンです。
この一文だけで、ピーターの孤独さが伺えます。
しかもこの後、迷子たちは、ピーターと別れて、ウエンディの家で暮らし始めちゃうんですよ!オイオイ、ピーター独りかよ〜!
ディズニーの映画じゃ、思いもよらない展開です。
こうなると、ティンクの存在がありがたく感じてきます。
そんなこんなも、生来の忘れっぽさが、忘れさせてくれるというから、更に遣る瀬無さが増すのです。
だって、今までも同じような悲しい目にあってきたかもしれないのに、忘れているんですよ!?
なんて悲しいんだ〜!
この辺読むと、子どもでい続けるって、なんて大変なんだ…と、子ども心に打ちひしがれたものです。

あと、ピーターを置いて、どんどん大人になっていってしまうウェンディの悲しみなども、そしてそれを乗り越えることが、大人になると言うことなのだ、などの件も、重要なエピソードだと思うので。

とまぁ、とにかく楽しいだけではないこの物語、アニメだけしか知らない方にはぜひとも、一読いただきたいと思っているのです。
それから、2005年に公開された、この作品の背景的映画「ネバーランド」も、あわせてご覧いただけると、より理解が増すと思います。
その他にも「ピーター・パン」関連の映画っていくつかあるけど、どれもイマイチだった気がする。

ただ画像を貼りたかっただけです・・・。

もどる



+++許可のない転載/複製は禁止です。+++No reproduction or republication without written permission.+++